ワーホリのHow toとかは書いていません。しょうもないことを書き留めている日記みたいなもの。

ファームでの暮らし

備忘録。

太陽が昇る頃に起きて、日が暮れる前に帰って、少し遅い昼食を食べる。誰が先にシャワーを浴びるか、帰りの車の中で話し合う。暑くて汗をかいた日や、寒くて凍える日には早くシャワーを浴びたい。

10時間くらいぶっ通しで働くとお腹も割と空いているので、シャワーかご飯のどちらが先かいつも悩む。仕事終わりに食べる適当なラーメンとかそんなにバターやミルクの味がしないクッキーとか、疲れているととても美味しく感じるから不思議。仕事中にビニールハウスの中のトロリーに座ったまま、ふりかけを混ぜただけのおにぎりを、凍らせたペットボトルの水で流し込むことがすごく幸せに感じた。

畑にたくさん実っている苺の中からなるべく綺麗な物を選んで、ペットボトルの水で少し洗ってから食べる。Stanthorpのうちのファームの苺はそんなに甘くないけど、食べると苺の水分を摂れるので、それで満足する。ほとんど酸っぱい中で、たまに甘いものに当たると嬉しくなる。

ピッキング中に、誤ってヘタが取れてしまったりして、そういうのは売り物に出来ないみたいだからこっそり食べたりしていた。それがあまりにも美味しくて、味をしめてしまって何度かヘタの取れた物はダイレクトに口に運ぶ癖が出来てしまった。でも農薬や土がついていたり、虫やナメクジなんかも普通にいるのでなるべく洗った方がよかったんだろうなとも思うけど、やっぱりやめられなかった。10月上旬のあまり苺がなっていない時期から仕事を始めて、最初は13とか20トレイしかできなかったのが、最後には60トレイも作れるようになった。女の子でも、早い人は120トレイとかいってたみたい。次元が違う。

Stanthorpは夏でも涼しいと有名らしい。現に到着した頃はダウンコートをきてピッキングしていた程。朝は割と寒くて、霧がよくでていた。

でも昼頃は気持ちの良いくらい晴れていて、ビニールハウスの中はバテるくらい暑かったけど、地面がぐちゃっとしていないので晴れた日は好きだった。苺畑に隣り合うりんご畑にはよくワラビーがいて、毎朝みんなで車の中からワラビーを探してワイワイしていた。

ファームハウスの子がお誕生日だった時には、苺を少し持ち帰って、スーパーの甘ったるい砂糖たっぷりのチョコレートケーキと、可愛いショッキングピンクのロウソクと砂糖のはいっていないホイップクリームを買った。生クリームがうまくデコレーション出来なくて見映えはあまりよくなかったのだけど、チョコレートケーキに甘くない苺と甘くないクリームを添えると、うまくバランスがとれてびっくりした。

 

韓国人と台湾人とは初めて一緒に暮らした。シドニーのシェアハウスではみんなバラバラな生活リズムだったけど、ファームハウスではみんな同じ時間に起きてご飯を食べて仕事に行って、買い物をして夕食を作って大きいアイスを分け合って、同じ時間に眠るということを初めてした。韓国人の子はいつも料理を振舞ってくれて、それがいつもすごく美味しかった。なぜかランチに韓国風巻き寿司を作ってくれたりキムチおにぎりをくれたり、そういうのを自然としてくれて、「胃袋を掴まれるってこういう感じなのかもなぁ」と思った。私は元々自分のためだけに料理をする事は多かったけど、そんなに腕前に自信があるわけじゃなかったから人に料理を振る舞うことはしたことなかった。でも最後の日に私だけデイオフだったのでトマトパスタを作ってみた。そしたらみんなが美味しい!とどんどん食べてくれた。ファームにいるとほとんどレストランなんかなくて、スーパーで買ったもので料理をするくらいしか楽しみがなかったのもあって、毎日何か作っていた。チキンを煮込んだり、カレーやパスタやオムライスを作ってシェアしたり。

 

結局のところ、思っていたより少し早くファームをリタイアする事にした。持病の腰痛が酷くなりそうな不安と、お金があまり稼げなかったことが大きな理由。

ファームで過ごしたのはとても短い時間だったけれど、かけがえのない時間を過ごした気がしていて、きっとおばあちゃんになって若い頃を振り返った時にはこの事を思い出すだろうなと思ったりした。